早期・希望退職者1万人超え 制度の違いと希望退職制度のメリットとデメリット
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東京商工リサーチによると、上場企業が2019年に早期・希望退職者は35社の計約1万1,000人。企業数も人数も2018年(12社、4126人)の約3倍、多くの電機大手が経営危機に陥っていた2013年(54社、1万782人)の人数を超え、6年ぶりに1万人を上回ったそうです。
2019年(1-12月) 上場企業「早期・希望退職」実施状況
通年で延べ36社が募集を実施、前年の3倍増
2019年1-12月に早期・希望退職者の募集実施を公表したのは、3月と9月(子会社のみ)に実施した東芝を含め延べ36社。募集・応募人数は合計1万1,351人(判明分)で、人数では2013年(1-12月、1万782人)を上回る水準となった。人数の最多は、富士通の2,850人。次いで、ルネサスエレクトロニクスの約1,500人で、子会社の売却や事業の選択・集中を進める東芝が1,410人、経営再建中のジャパンディスプレイの1,200人と続き、規模の大きな募集が増える形となった。
報道では、早期・希望退職者の募集と、続けて述べられていますが、実は希望退職制度と早期退職制度は、まったくの別物なのです。
その違いは「人員整理を目的とするか、否か」
令和のリストラの特徴は会社が黒字であっても、行われている点です。
サラリーマンであれば、まったく関係がないとは言い切れないこれらの制度。
それぞれ、どのような制度なのか、整理をしました。
希望退職制度と早期退職制度の違いは何か?
希望退職制度とは
希望退職制度とは、一言で言うと、会社が従業員の主体的な退職を募る仕組みのことです。
人員整理を目的に行なわれることがほとんどで、リストラの前段階とも言えます。
「希望」と名が付くだけあって、従業員の意志が最優先されます
法的な拘束力があるものではないため、会社側から強制することはできませんが、希望退職に伴う退職の場合は、原則として、自己都合ではなく会社都合での退職が成立します。
そして、押さえておきたいポイントとして、
希望退職制度は希望者全員の「希望が通るとは限らない」ということ
詳しく解説すると
希望退職は希望すれば100%成立する、という種類のものではなく、能力の高い従業員や専門的な従業員は引き止めにあうこともあります。希望退職の成立には「双方の合意」が求められるため、こうした引き止めも認められています
その場合に自分の意志を突き通して、退職した場合は、会社都合ではなく自己都合の退職となってしまうこともあるため、注意が必要です。
早期退職制度とは
希望退職制度と混同しやすいのが早期退職制度です。
前述の通り、希望退職制度は人員整理を目指しているケースがほとんどです。
しかし、早期退職制度は、組織の人員構成を整えたり、従業員の人生の選択肢を広げたりすることを目的とします。
そのため、早期退職制度の利用者に対しては、退職金を割り増すといった優遇措置が取られます。
また、期間を限定して希望者を募る希望退職制度と違って、常時、誰でも利用できるのが早期退職制度の大きな特徴です。
会社が希望退職者を募り始めたら
まずは自分が募集対象になるか、否かを確認しましょう。
会社の経営状況を改善するための施策ですから、会社の将来に不安を感じると思いますが、会社がすぐに倒産するわけではありません。冷静に受け止めましょう。
次に、もし自分が、希望退職者の募集対象であった場合は、退職をした場合に得られる退職金や、会社からの転職先の斡旋等、メリット・デメリットを考慮して、希望退職に応じるか否かを検討することになります。
希望退職に応募するメリット・デメリット
ここでは、希望退職に応募する場合に考えられる「メリット」「デメリット」について整理します。
希望退職に応募するメリット
退職金が多く得られる
希望退職制度を利用すると、ほとんどの場合で割り増しの退職金を提示されます。当面の生活を心配することなく、過ごすことができます。
失業給付金をすぐに得られる
希望退職の場合は「会社都合」での退職となるため、「自己都合」の場合に比べて2ヶ月以上も早く、給付金の支給が始まります。
失業給付金の給付期間が長い
「会社都合」の退職の場合、「自己都合」の退職よりも、最長で2倍以上の期間にわたって失業給付金を受け取ることができます。
転職活動の際に離職理由を説明しやすい
業績悪化の希望退職の場合、「自分の意志で退職した」という意味で、リストラよりも格段に離職理由を説明しやすいはずです。
転職活動がしやすい
当然の話ではありますが、退職すれば、そのぶん自分の時間を作ることができます。それだけに、自分が希望する会社を探した上で、じっくりと転職活動に集中できるはずです。
希望退職に応募するデメリット
安定した収入が得られなくなる
一時的とは言え、収入がなくなってしまいます。そうすると、日々の生活費や保険料が少しずつ重荷に。割り増しの退職金があったとしても、安定収入がない状態には大きなリスクがあります。
転職先が決まらない可能性もある
景気の変化などが理由となり、当初想定していたよりも転職先を見つけづらい…なんてことも考えられます。「退職してから探そう」と楽観的に考えた結果が裏目に出る可能性も、想定しておく必要があります。
年金の支給額が減ってしまう
年金は、「年金をもらい始めるまでの平均給料」と「加入月数」によって決定します。そのため、離職期間が生じると年金の総支給額も減額する、という覚悟が必要です。
社宅住まいの場合、引越しが必要
社宅は、当然退職時に引き払わなければなりません。その際に生じる引越し代などは、大きな負担となってしまう可能性があります。
無職の状態ではローンを組みにくい
基本的に、無職の状態では住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードの審査などは通らなくなると考えておいて間違いありません。
メリット、デメリットをしっかり考えた上で、結論をだしましょう。
希望退職に応じないと、どうなるのか?
結論からいうと、希望退職の対象であったとしても、応じなくても何の問題もありません
しかし、経営再建のために組織変革や収益性の改善など、今後多くの課題を、社員として解決し続けるという覚悟が必要です。
応じるも応じないも自分の意志次第です。
まとめ
令和の大リストラ時代とも言われる昨今の状況で、不安を感じている方も多いことでしょう。
希望退職については、応じても、応じなくても、険しい道を進むことになります。
組織人であれば、誰もがその対象となる可能性があります。
あとで後悔のない選択をするためにも、日頃から自分自身のキャリア設計をすることが必要です。
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